不動産会社の入居審査ではどんなことがありますか？

物件を探し、契約する為には、入居審査に通らなければなりません。入居審査には、審査基準があり、基準となる項目が当然あります。この項目に通らなければ、せっかく見つけた良い物件だったとしても、入居する事は出来ません。

では、その入居審査の項目には、どんなものがあるのでしょうか。

入居審査の項目には、年収、職業、連帯保証人、人柄があります。この４項目においての比重は、とても大きなものとなっています。また、これ以外にも、不動産会社が見ておかなければならないと判断した項目が、入居審査の項目として加えられていきます。しかし、こうした項目は、必ず審査される４つの項目と関係している事が殆どです。つまり、入居審査の項目として比重が高い４項目がしっかりしていれば、他の項目はクリア出来るという事になります。

こうした入居審査は、家を借りる為には、どうしても必要になります。赤の他人が管理する土地を借りて住むわけですから、やはり、判断基準となるものが必要になるのは当然の事です。しかし、必ずしも、全てを満たせるわけではありません。人の人生は、ひとりひとり違います。仕事が安定していても、収入が多くない人もいれば、逆に、収入は多いのに、仕事が安定していない職業の人もいます。また、連帯保証人がどうしても立てられない人もいるでしょう。しかし、こうした人が入居審査に通らず、家を借りられないという徹底した規則のようなものがあったとしたら、家の無い人が溢れてしまうでしょう。しかし、現実には、家の無い人で溢れかえってはいません。収入が少なくても、安定した仕事がなくても、連帯保証人が立てられなくても、ちゃんと家を借りて生活している人がいます。

入居審査の基準があるのに、そういった人が家を借りられるのはなぜでしょうか。そこには、理由があるからなのです。

入居審査の中で、収入と職業は、対になった項目と言っても良いでしょう。収入の出所は、その人の職業によるものです。その人の職業が安定していれば、自ずと収入も安定したものと判断されます。しかし、こうした概念が、必ずしも通じるとは限らない場合もあります。

現代には、様々な働き方があります。契約や派遣という形で仕事をしている人もいれば、フリーターとして働いている人もいます。また、職業も様々あり、タクシー運転手でも、会社に属している人もいれば、個人タクシーとして働いている人もいます。このように、働き方も職業も様々ある中で、収入の判断となるものは、やはり、安定です。安定を想像出来る働き方、職業の人は、問題なく入居審査に通る事が出来ます。しかし、フリーターなど、仕事が安定していないと判断されやすい労働形態の場合には、収入が多くても、顔をしかめられる材料となるようです。また、イメージのあまり良くない職業の場合にも、あまり良い印象をもたれないようです。

収入と職業を、いわば、世の中のイメージで判断されてしまう理由には、将来的な問題があります。契約して、家賃を払って、初めて賃貸アパートやマンションは住む事が出来ます。ですから、家賃が払えなくなる心配を抱えた人に、安易に家を貸す事は、大家にとってはあまりにも大きなリスクとなるのです。また、それを依頼されて客に紹介し、契約を取って経営をしている不動産会社においては、大家からの信用を失う要因となり、商売にならなくなってしまいます。そうならない為にも、確実な人が欲しいわけです。その確実性を見出すのが、収入と職業なのです。将来的にも家賃を払っていけると判断出来なければ、頭を縦に振るのは難しい事なのです。

入居審査の項目に、連帯保証人の審査があります。この入居審査を通る為には、連帯保証人となる人の身元の確かさが必要です。契約者との関係が密であればあるほど、確実とされています。つまり、両親や兄弟といった、家族であれば、例え、親が定年退職していたとしても、友人や会社の上司といった、血筋関係のない人が連帯保証人になっているよりは、入居審査に通り易いという事です。しかしながら、その場合でも、以前の勤め先が安定したものでなければならないという条件があります。退職金や年金が確実にあるという保証が必要だからです。ですから、親に退職金や年金の金額に保証がない場合には、難しくなります。

連帯保証人の項目を通る為には、身内が良いという事ではありますが、逆に、身内だからこそ頼みにくいという人も多いようです。退職金や年金を、自分の連帯保証人としての目処にしたくないという人もいるからです。また、連帯保証人には、様々なトラブルもありますから、受け入れてくれる人を探す事自体、難しいものとなっているのが、近年の傾向のようです。こうした人は、家を借りられないのかというと、そうではありません。こうした、連帯保証人を立てられない人への救済処置的方法が、実はあるのです。

連帯保証人を立てられない場合には、２つの方法が用意されています。１つは、連帯保証人を立てず契約する方法です。この方法には、クレジットカードを利用する方法があります。現在では、オリコカードが提供している、オリコスリーウェイサービスというものがあります。家賃をクレジットカードで払う事を前提にする事で、家賃の延滞を防ぐ効果があり、クレジットカードを契約しているという保証が、その人の保証として入居審査されるというシステムです。不動産会社としては、ミニミニや大東建託、積和不動産などが導入しています。もう１つは、第三者機関が代行するシステムです。日本賃貸保証などの企業が、連帯保証人となってくれるシステムです。

このように、連帯保証人が立てられなくても、連帯保証人の入居審査を通る方法はあります。しかしながら、この２通りの方法は、自分が選択出来るものではありません。あくまでも、不動産会社側が用意しているシステムとなっています。ですから、自分で代行企業を探したり、別の会社のクレジットカードを持っているからそれでやって欲しいといったりした要望は言う事が出来ません。また、自分で代行会社を探す時、詐欺行為を行っている会社に引っかかり易くなるので、そういった意味でも、不動産会社に任せるのが良い方法です。

年収や職業においても、安定したものが無くても、入居審査に通る方法があります。それは、不動産会社の信頼を掴む事です。収入や職業は、永遠に安定したものである保証は、誰にもありません。つまり、安定した職業ではなくても、安定した収入ではなくても、不動産会社に人柄で信頼して貰う事によってカバーする事が出来るのです。

年収や職業に心配点がある場合には、自分の人柄を大いにアピールする事が必要です。そして、不動産会社の協力を得る事が必要です。入居審査は、不動産会社が行うといっても過言ではありません。最終的には、住む事になる家の大家がしますが、大家は、不動産会社の保証を信頼し、決定しています。つまり、不動産会社が入居審査を通せば、大家も頭を縦に振るのです。だからこそ、不動産会社への心象は、良くする必要があります。

こうした事から考えると、比重の高い４つの入居審査の項目のうち、人柄は、最も重要と言えるのかもしれません。不動産会社は、大家へ良い人を紹介する事を常に考えています。大家が嫌うのは、トラブルです。トラブルになる要因のある人は極力避けたがります。ですから、不動産会社も、外見やマナーの悪い人は、それだけで敬遠します。物件探しの際には、そうした点にも注意が必要です。また、収入や職業の点、連帯保証人などにおいて、心配事がある場合には、包み隠さず話しましょう。内容によっては、不動産会社がその条件に見合った家を探してくれます。

また、将来のビジョンも立てておく事が必要です。ただ仕事が無い、このままフリーターが良いというだけでは、そこから良い部分を引き出しては貰えません。仕事が無い状態なら、将来的にはどういった仕事に就きたいとか、その為にこんな努力をしているといった事を話しておくと、協力してくれるかもしれません。不動産会社や大家が入居審査に求めているのは、将来的な安心です。それは、安定した職業に就いている人でも、今は仕事を持っていない人においても、家を借りる際に必ず必要になる事なのです。

最近は、知らない人同士が一緒に住むルームシェアも人気です。しかし、ルームシェアは、どこの物件でも出来るわけではありません。

同棲や友人同士で住む場合もそうですが、誰か他の人と住む場合に問題となるのが、その間でのトラブルです。喧嘩や騒音など、一人で住むのとは違い、話す事による要因が引き金となって起こる問題が、そこにはあります。アパートやマンションは、その１部屋だけを扱っているわけではありません。隣人や下の階の人と、他の部屋にも住んでいる人がいます。その人達が迷惑すれば、大家に迷惑を掛ける事になるのです。それを嫌います。ですから、同棲や友人同士で住む事、ルームシェアといったものは、毛嫌いしている大家も多いようです。その為、例え、入居審査が通る年収、職業、連帯保証人、人柄であっても、断られてしまう事になります。

また、契約する際には、それぞれが契約者となる為、連帯保証人もそれぞれに立てなければなりません。更に、家賃の目処も、そこに住む契約者の人数によって検討されている為、どちらか一方が出て行く事になった場合に、その先の不安が大家には心配事となります。そういった理由から、どんな物件でも、ルームシェアが出来るわけではありません。

同棲や友人同士で住みたいといった、ルームシェアを考えている場合には、同居可能と謳っている物件を利用する必要があります。こうした物件はターミナル型の不動産会社に多く扱われている物件です。ルームシェアを目的として立てられているプランですから、家賃の事や騒音問題、居住者同士のトラブルといった問題点も考えられているはずです。ですから、ルームシェアを考えている場合には、初めから、同居可能な物件を探す事が必要です。